樹液の役割について

皆様こんにちは。
目黒、千葉船橋、横浜港北で無垢材家具を中心に取り扱っております、インテリアショップBRUNCHです。

つい先日、久々にたっぷりと雨が降り、いよいよ関東の空模様も梅雨本番となってきましたね。
今年は空梅雨か、なんて言われていましたが、お店の外に植えられた植物達もようやく梅雨の恩恵を受けられて何となく生き生きとしているように感じます。
雨空は少し憂鬱になりますが、外で生きる木々の健康には欠かせないものですね。

木々の健康を守っているものは多くありますが、その一つに樹液の存在があります。
樹液は樹木に含まれる液体成分です。植物の樹皮を傷つけたとき、そこからしみ出してくる液体のことを言います。
損傷を受けた部分の補修をする働きをもつ、人間で言うと血液のような存在ですね。

『樹液』と聞いて私がぱっと思いつくのは、まさにこれから迎える季節である夏に、木に集まるカブトムシやクワガタといった昆虫の姿です。
子供の頃、あれは「木から出る樹液を求めて集まっているんだよ」と教わった覚えがあります。

何故、昆虫たちは樹液に集まるのか……それは、樹液に含まれる糖分を好んでいるためです。
夏は葉がたっぷりと生い茂り、光合成が活発に行われます。
その結果葉で糖分が生成され、それが樹液によって木全体へ輸送されていく為、樹液は甘くなり、その豊富な糖分に引き寄せられて虫たちが木に寄ってくるというわけです。

ちなみに、すべての木の樹液が虫たちに好まれる甘い樹液を持っている、という訳ではありません。
樹液には木に付けられた傷を治す役割の他、害虫や病原菌などが入ってくる事を防ぐ役割があります。
つまり、「抗菌物質」も含んでいるのです。
この場合の「抗菌物質」とは、ポリフェノール。コーヒーやワインにも含まれている成分ですね。
そしてその主な成分は「タンニン」といわれる渋みの成分です。
つまり、この抗菌物質が多く含まれている樹液は渋みが強くなります。
渋みが強い樹液はあまり甘味が無いため、虫たちも好まず、集まりません。

抗菌物質が多く含まれる木の特徴の一つには、樹皮が薄い木であることが挙げられます。
樹皮が薄いと当然傷が付きやすく、病原菌も入り込みやすいため、より多くの抗菌物質を必要とします。
樹皮が薄い木としては、身近な樹木だと百日紅やヒメシャラなどが挙げられます。


[百日紅]


[ヒメシャラ]

対して、樹皮の厚い木は、それだけで傷や害虫から守りやすくなっている為、そこまで抗菌物質を含む必要が無いのです。
さらに昆虫がよく集まる事で知られるクヌギの木に関して言うと、樹皮がコルク層のように重なって出来ており、厚く頑強で害虫や病原菌に強いだけでなく、その樹皮そのものにタンニンが多く含まれているので樹液に抗菌物質を多く含む必要が無く、より甘い樹液となり、虫たちに好まれているそうです。


[クヌギ]

私達の生活に馴染みの深い樹液といえば、メープルシロップもその一つですね。
サトウカエデから採取した樹液を煮詰めて出来たものが、よく口にするメープルシロップになります。

あの優しい甘さも、木が自らを守るために生成したのものだと思うと、何だか背を正して頂きたくなりますね。

それでは今回はここまで。次回もお楽しみに!

ラビットチェア~デザイナーSANAAについて

みなさん、こんにちは。
目黒通り、千葉、横浜に展開する無垢材家具のインテリアショップBRUNCHです。

目黒通りの新ビルbrunch+oneがオープンしてからもうすぐ3ヶ月。

brunch+oneではこちらのチェアがお客様をお出迎え致します。

うさぎの耳をかたどったかのようなデザインが印象的で可愛らしい、通称「ラビットチェア」。

素材は白くて透明感のあるビーチ材とスチールパイプの組み合わせ。
座面部分には成形合板を使用しており、うさぎの耳のような背もたれが優しく背中にフィットします。

耳のかたちはよく見ると、左右非対称。そしてアーム部分も左右非対称となっています。フリーハンドで描いたような左右非対称の曲線をデザインとして落とし込んだ興味深いプロダクト。

そして素材の特性を活かした曲線が美しいチェアです。


CH-0016 アームチェア


CH-0017 アームレスチェア

このチェア、BRUNCH以外でもご覧になったことのある方は多いと思います。
一番有名なのが、金沢21世紀美術館での展示ではないでしょうか。

金沢21世紀美術館にずらりと並ぶ「ラビットチェア」をデザインしたのは、「日本一の美術館」と謳われるこの美術館の設計も手掛けた建築家ユニット、SANAA(サナア)です。

今回はそんなSANAAについてのお話し。

SANAAは、1995年に設立された妹島和世と西沢立衛による日本の建築家ユニット。
2度の日本建築学会賞受賞や、建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞するなど、これまで見たことがないような自由な発想の美しい建築物を多数生み出し、世界的に高く評価されています。

きっとみなさんも知らず知らずのうちにSANAAの手掛けた建物をご覧になっていると思います!

例えば都内だとこちら。


ディオール表参道

どうでしょう。表参道を訪れたことのある方なら、一度は目にしているのではないでしょうか。

SANAAがユニットとして、そして妹島氏、西沢氏それぞれが個人として設計した有名な建築物は世界中に点在し、すべての作品を見るとなるととても大変ですが、私が実際に足を運んだなかで一番のお気に入りは、前述の金沢21世紀美術館です。

2004年にオープンした金沢21世紀美術館の設計を担当したSANAAは、その年のヴェネツィア・ビエンナーレで国際建築展の金獅子賞を受賞。(100年以上の歴史を持つ世界最大級の美術展での最高賞です!)

格式ばっていて敷居が高いと思われがちなそれまでの美術館のイメージを覆す「ひらけた雰囲気の美術館」を建築物として作り上げたことで、建築・アート界隈に衝撃を与え旋風を巻き起こしました。

この設計を機にSANAAは美術館作りの名手として世界中で活躍しています。いまでは一般層にもその名が広まったと言えるのではないのでしょうか。

「まちに開かれた公園のような美術館」をコンセプトにした金沢21世紀美術館は、全面ガラス張りの円形の建物でどの方角からやってきた人も入りやすいように4か所の入口が設けられています。

美術館の周りの敷地は芝生で覆われ、周辺を囲う物はなにもなく歩道と地続き。ところどころに設置されたユニークな屋外展示作品も相まって、本当に公園の一角にいるようなほのぼのとした雰囲気です。

そして誰もが気兼ねなく立ち寄れるこのオープンさは、どの方向から見てもキラキラと美しく輝き、中を見通せるガラス張りの建物ならではでしょう。人々が自然と美術館の中に吸い込まれていくようです。

美術館の「中」に入ってみると、内部の作品展示室以外はほとんどがガラス、透明の壁になっていて、太陽の光が差し込み、展示作品と鑑賞者たちの動きが交差した美しい空間が広がります。

円形の建物の中に多数配された中庭や白い立方体の展示室が、さながら迷路のように入り組み、常設展示も含めてさまざまな作品を道順関係なく楽しめるつくりとなっています。

集中してじっくりと作品の鑑賞もできるし、外を見渡せる透明な壁沿いの空間でゆっくりと休んだりもできる。展覧会を見に来ているということも忘れそうなほど、美術館での時間を緩急をつけながら自由に楽しめます。

美術館の中を、外を、好きなように歩きまわるだけで「多方向性=開かれた円形デザイン」「透明性=出会いと開放感の演出」といった設計にあたり用いられたテーマと、SANAAが生み出す建築物の魅力を存分に体感することができます。

そして夜になると自然豊かな金沢らしい静かな暗闇の中、美術館内の灯りが外へと光を放ち、昼とはまた違う美しい表情の外観を見せてくれます。

なお、金沢21世紀美術館に展示されているSANAAの作品としては、最初にご紹介した「ラビットチェア」の他に、マイケル・リンによる加賀友禅に着想を得た花模様が壁を埋め尽くす恒久展示作品「市民ギャラリー」の前に並ぶ、ロッキングチェアがあります。

チェアに施された柄はマイケル・リン、チェアのデザインはSANAAが手掛けた両者のコラボレーション作品です。

いまでは人気の観光名所となった金沢21世紀美術館。
話題の常設展示作品や企画展の面白さもさることながら、SANAA建築の素晴らしさと美しさもぜひ味わっていただきたいです。

*金沢21世紀美術館 Website

 

そして、もうひとつ。
SANAAの設計とは知らずにたまたま立ち寄ったことがある、軽井沢千住博美術館も非常に美しい建築です。

こちらの外観は円形ではありません。しかし中に足を踏み入れた瞬間、どこか金沢21世紀美術館を想起させるつくりにすぐピンときたことを覚えています。

たくさんの植物が植えられた不定形の中庭をガラス壁が囲み、そこから自然光がたっぷりと差し込んで、やわらかく透明感の溢れる空間が広がります。

こちらはユニットとしてではなく、SANAAの西沢氏個人による設計です。
千住氏本人からのリクエストもあり「明るく開放的」な美術館を目指したそう。

この美術館の特徴は、建物が立っている土地の起伏をそのまま生かした、ゆるやかに傾斜している床の設計です。
アスファルトで覆われた道や屋内の平らな床とは異なり、まるで自然の中、土の上を歩いているような感覚で展示を見た記憶があります。

なだらかに起伏する床の形状は視覚的効果が高いデザインとして、建物全体を不思議な雰囲気で包み込んでいました。

*他の写真は軽井沢千住博美術館 Websiteでご覧下さい

そして軽井沢千住博美術館と同様の「床が傾斜した美術館」は、SANAAとしても設計しています。

それが広く話題を集めたフランス ルーヴル美術館の別館「ルーブル・ランス」です。

現地の広大な風景に溶け込むアルミとガラスを多用したSANAA設計の美術館、ルーブル・ランス…いつか絶対行ってみたいと思っています。

ほかには、ベネッセアートサイト直島にあるSANAA西沢氏が設計に関わった豊島美術館や、都内ではSANAA妹島氏が手掛け昨年オープンしたすみだ北斎美術館なども注目です。

個人的にはSANAA建築の魅力はただひたすらにその存在自体が美しく、そしてさまざまな事柄の間に潜む壁を取り払ったと思しき自由な発想。その点に尽きると思っています。

(最近発売されたこちらの雑誌にもSANAA特集が!目を奪われる美しい写真がたくさん)

SANAA設計による美術館や興味深い建築物はまだまだありますが、今回はこのあたりで。

すこしでも興味を持たれた方は、まずBRUNCHで実際に「ラビットチェア」をご覧いただければと思います!

それではまた。

梅雨と家具

皆さま、こんにちは。

都内も今週から梅雨入りと発表されましたね。
私はこの前、天気がよかったのでベランダにお布団を干して出勤していき、午後から雨が降ったみたいで家に帰ったらお布団がビショビショで嫌な事がありました。
皆さまも気を付けてくださいね(笑)

さて、BRUNCHで家具をご購入されたことがある方はご契約時に「加湿器のススメ」の用紙をお渡しされるかと思います。

始めて無垢材家具を購入された方は「なに??」となる方もいらっしゃるかと思います。

なので、まず無垢材の性質を簡単に説明させて頂きます。
無垢材家具は呼吸しているのです。
とは言っても、私たち人間のように空気を吸ったり吐いたりしている呼吸ではなく、周囲の温度や湿度に合わせて空気中の水分を吸ったり吐いたりする呼吸をしています。自然に湿気を吸収放出を繰り返して室内の湿度調整しています。
つまり、お部屋が乾燥している時は木に含まれている水分を吐き出して縮み、お部屋の湿気が多いときは余分な湿気を吸収し膨らみます。

なので、乾燥しているときは木自体の水分を放出し体積が小さくなるため割れ反れが起きやすくなるのです。

無垢材の話はこのあたりで終わり、梅雨の時期に気を付けて頂きたことをお話しさせて頂きます。

これから梅雨時期で湿気があり、家具にとってはいい季節とも言えるでしょう。
ですが、湿気が割れや反れはおきにくいとはいえ湿気対策お手入れをしっかりしましょう。

梅雨の時期は湿気が溜まりやすく、カビが発生しやすい時期にもなります。
特にBRUNCHで取り扱っている家具はほとんどが無垢材です。
室内の温度変化や湿気の影響も受けやすく、カビも生えやすいです。

ですが、カビを防ぐ方法がございます。
極端に言ったら根本的な湿気を排除すればカビは防ぐことはできますが、そうはいきません。

●梅雨の時期は特に掃除をマメにすること
湿気が発生する時期にホコリがあるとカビやダニが発生する発生物質(エサ)になってしまいます。
ホコリが溜まる前に掃除をすることによってカビなどを防ぐことができます。

また、汚れてしまいそうなところを事前に予防しておく予防掃除もオススメです。
皆さま、予防掃除をご存じでしょうか。

予防掃除とは、、、
掃除は毎日する方もいらっしゃるかと思いますが一般的には汚れたらするもの。
そもそもお部屋を汚れないようにする、準備工夫のことをさします。
汚れがたまったりしてしまい、強力な汚れになってしまうので掃除が大変になってしまうのです。
なので、極力汚れないようにはじめに工夫して、ちょっとしか汚れていないうちに掃除してしまうのが予防掃除です。

●換気に注意すること
梅雨の時期は湿気で温度が高くなりムシムシして換気をしたくなりますよね。
外が晴れている時は良いですが、雨が降っている時や雲って湿りがちな日は窓は閉めておいた方がいいです。
換気をすると気温が下がるような気がしますが、実は梅雨の時期は外の方が気温も湿度も高いことが多いので、そのまま外の空気が室内に入ってきて湿度を呼び込んでしまうのです。

 

除湿器やエアコンなどの家電を使うことで湿度を抑える事も出来ますが、エアコンに家具を直接あたってしまうところに置いてしまうと乾燥の原因になってしまうので気を付けましょう。

●家具の配置を考える
家具はお布団のように外に干すことができませんし、簡単に位置をずらすことも困難かと思います。
家具を配置するときに気を付けて頂きたいのは、普段から空気の通り道を確保することが大切です。
通気性が悪いと家具の裏側が極端に痛み、カビやダニが発生しやすくなります。
壁付けに家具を配置している方も多いかと思いますが、梅雨の時期は5センチくらい壁から話すと空気の通り道ができ、カビなども防ぐことができます。

梅雨の時期、雨の日が続いて気分もどんよりしがちですが、無垢材家具のお手入れにお役に立てればと思います。

 

それでは今回はこのあたりで。

1世紀愛されるランプシェイド

インテリアに欠かせないアイテムの一つ”照明”について。

BRUNCHでも多くの展示に使われていてリビングやダイニングをくつろぎの空間と演出してくれる照明はとっても大切な存在です。

今回はデンマークの有名な画家でもあり建築家のP.V.イエンセン.クリントが生み出した”LE KLINT”(レクリント)についてお話し致します。

インテリアに興味がある方はもちろんですが一度はどこかで見たことがあるのではないでしょうか。

20世紀のはじめ、クリント氏が紙を規則的に折上げてランプシェードを作ったことが始まりで、クリント家の趣味から1940年にはレ・クリント社が設立され、今ではデンマーク室御用達に選定される世界を代表する照明となりました。

P.V.イエンセン.クリント

“LE KLINT”の照明は一枚の紙を手でおり上げたプロダクトで、建築家ならではの計算つくした柔らかなコントラストが美しいデザインです。

当初製作されたハンドクラフトシェード

今でもひとつひとつ丁寧に手作りで折られ生み出されているので、そこには伝統工芸のような貴重さが存在します。

LE KLINT ペンダントライト 101B

北欧の冬の日照時間は少なく家で過ごす時間を大切にしてきた北欧の人々にとって光はとても大切なもの。生産性だけではなく目に入る光の美しさは、人々の生活の安定や安心を生み出していたのではないでしょうか。

21世紀となった現代でも愛される無駄のないデザインはこれからも変わらず愛されるインテリアであり続けるでしょう。

それでは本日はこのあたりで。

木製家具の材料。無垢と合板。

こんにちは。BRUNCHでは無垢の木の家具を中心に取り扱っておりますが、さて、ここでいう「無垢の木の家具」とはどんなものでしょう。

 

辞書で無垢を調べてみると、

———————————————-
【無垢】

1.けがれのないこと

2.潔白で純真なこと

3.まじりけの無いこと
———————————————-

とあります。

この中で家具の材料に該当しそうな内容としては3.の「混じり気のない」木の家具、という言い方が近そうです。

まじりけのない、木の代表としては「一枚板テーブル」があります。

一本の大木から切り出した一枚の板を天板として作り上げる一枚板のテーブルはまじりけのない無垢の家具です。

一枚の板ですので、つなぎ目もありません。

カウンターなどに使われる天板は、接ぎ合わせ(はぎあわせ)の天板も多く使われます。

つなぎ目がみえますね。これも無垢の板です。

では、「無垢の木の家具」以外にどんな家具の素材があるのでしょう。

木製家具、木の家具という言葉には、無垢の木の家具以外のものも含まれています。その材料になるのが、家具材としてよく使われる用語で以下のものが見受けられます。

集成材、積層材、合板、突板、LVLなどがよくみられるでしょうか。それぞれを調べていくと膨大な量となってしまうので、今回は家具のカタログなどでよく見る、積層合板を調べてみます。

ホームセンターなどで一般的にべニア板(正確には違うものですが)と呼ばれたりするこの積層合板ですが、通常薄い木を奇数枚、木目を縦、横と交互に貼り合わせて材料にします。奇数枚合わせるというのは、表も裏も同じ木目になるようにするためですね。

端を割ってみた合板ですが、木目が交互になっているのが分かるかと思います。こうすることによって反りやねじれが出にくく、強度的なムラを最小限にすることができます。

広義では、構造材やコンクリートの型枠に使われる「コンパネ」や、心材にランバー材という木をもつ「ランバーコア材」なども積層合板の一種と言えます。

廃材や端材などを粉々に砕き固めたパーティクルボード(カラーボックスなどの材料)を心材に使ったりすることもあり、加工性の良さやコストの面で有利な様々な合板が開発されています。

 

例えば、この可動棚板、見た目には無垢の板のように見えますが、外してみると、

無垢板ではないことが分かります。

合板を使うメリットとしては、コストも面ももちろんですが、反りにくく、強く軽く製作できるという点があげられます。

棚板などの場合、取り外して位置を変える必要性があるパーツとして、重さ、反りや捻じれが機能性に不都合を生じる可能性があることから、合板を使うことが多いパーツでもあります。

引き出しや扉を備える機能性を持つ家具、チェストやテレビ台なども無垢のものより合板やフラッシュ構造(中空構造。合板をさらに貼り合わせたパネル)でできているものが多くなります。

 

積層の合板は個人差はあるものの、その断面を美しく作るとデザインになることもあります。

こちらの棚は積層合板に化粧面(綺麗な木目の板やプリントした素材、もしくは塗装)を施した家具です。

少し寄ってみましょう。

このように断面を見せてしまうという方法もあります。

構造的な部分を綺麗にデザインに取り込んでしまう家具は海外のものに多い印象をうけます。

日本では職人の慣習から、構造を見えないように隠したり、意識をさせないという文化が根強かったため、このような発想は難しかったようです。近年では合板をあえて内装に取り入れたりすることも増えてきました。

ちなみにこの黒い色の面は、断面で見るとこのくらい薄いものとなります。一番上の層の黒い線が化粧面と呼ばれる加工を施した面です。0.0数ミリという厚さになります。

これを無垢の板で作った場合、日本の古い家具ですが、こんな形になります。

杉材の棚板ですが、これはこれで味があります。

端の部分をみてみると、

無垢の棚板であることがわかります。

 

文字通り適材適所で使われている素材を変えていくのは強度や耐久性、生産性などのコストの面でも大きくかかわる部分となります。

そんなことを頭の片隅にちょっとだけ置いておきながら家具屋巡りをしてみるのも別の視点と合わせて面白いかもしれません。

無垢材家具と観葉植物。

こんにちは!BRUNCHです。
徐々に気温が高くなり、日中は汗ばむほどになってきましたね。
BRUNCHでは無垢材家具を展示しておりますが、店内には観葉植物もたくさん。
やはり温かみのある無垢材家具 + 観葉植物(グリーン)は相性抜群なんですね。

よくお客様に「これは何の木ですか?」と尋ねられることがあります。
グリーンに囲まれて生活するなんて憧れますよね。
しかしなかなか気に入った物に出会えなかったり、いざ購入してみてもすぐにダメにしてしまったりと、結構難しいですよね。

そこで、私がおすすめする育てやすいグリーンをご紹介したいと思います。

◆ゴムノキ
水やり◯
耐寒性◯

◆カポック
水やり△
耐寒性◎

◆フィカスアルティシマ
水やり◯
耐寒性◯

◆フランスゴムノキ
水やり◯
耐寒性◯

◆ベンガレンシス
水やり◯
耐寒性◯

◆ストロベリーグアバ
水やり◎
耐寒性◎

◆エバフレッシュ
水やり◎
耐寒性◯

◆ボトルツリー
水やり◯
耐寒性◎

◆ソングオブジャマイカ
水やり△
耐寒性△

◆F・スタシオン
水やり◯
耐寒性◯

◆コーヒーノキ
水やり◯
耐寒性◯

◆ウンベラータ
水やり◯
耐寒性◯

◆ステノカルパス
水やり◯
耐寒性◎

◆エレンダニカ
水やり◯
耐寒性◎

◆ベンジャミンスタシオン
水やり△
耐寒性◯

などなど。
BRUNCHではたくさんの育てやすいグリーンを置いています。

中でもおすすめは、こちら。

■エバフレッシュ

土の表面が乾いたらたっぷりと水をあげます。
細かい葉っぱが風にそよぐ姿がとっても綺麗です。
また、暖かい時期にはとっても面白い形の花が咲きます。
夜になるとオジギソウやネムノキの様に葉を閉じる姿も見られ、可愛らしいです。
寒さにも強く、お水のあげ方を間違わなければとても育てやすいとおもいます。
コツは、「乾いたらたっぷり」「お皿にたまったお水は捨てる」です!

■ベンガレンシス

ヒンドゥー教の神話に、「のぞみを叶える木」として登場することから、「長寿」という花言葉がつけられたベンガレンシス。
とても育てやすく、夏はお水をたっぷりと吸い上げます。
直射日光にあてると葉がやけてしまうため、レースのカーテンをするのをお忘れなく。
大ぶりで鮮やかな葉の色が、シンプルなお部屋を素敵にしてくれます。

■フィカスアルティシマ(左)とベンジャミンスタシオン(右)

こちらも比較的育てやすいアルティシマと、カールした葉が可愛らしいベンジャミンスタシオン。
どちらもやさしい雰囲気で、無垢材家具にぴったりです。
フィカスアルティシマも、ベンガレンシスと同様に葉焼けには注意。
また、夏はお水をたっぷりと、冬は3日に一回程、土の表面がかわいたらあげます。
ベンジャミンスタシオンはお水を控えめに。
たっぷりとあげ過ぎると、根がくさってしまいます。また、冷暖房の風が苦手ですので直接あたる場所は避けます。

■ソングオブジャマイカとウンベラータ

樹形が芸術的なソングオブジャマイカ。
葉の色合いも綺麗ですし、 名前を直訳すると「ジャマイカの歌」だなんてなんだかロマンチックです。
余談ですが、同じリュウゼツラン科の植物で「ソングオブインディア」なんていうものもあります。
葉の色はやや黄色みがかっています。
寒さにやや弱く、お水のあげすぎに注意が必要です。
それさえ守っていれば育てやすい方だとおもいますので、ぜひお部屋で育ててみてください。
陰に隠れてしまっていますが、後ろのウンベラータもリビングに置くととてもおしゃれです。
寒暖差が激しすぎると枯れやすくなりますので、寒い時でも10度前後を保つことが元気の秘訣。
大きな葉がつぼみのようにでてきて、ぱっと開きます。
観察しているととても楽しい木です。

 

まだまだありますが、今回はこのあたりで。
ちなみに私はカシワバゴムノキという、柏の葉のような大きな葉をつけるゴムノキを育てていますが、なんと1週間くらいお水をあげなくてもとても元気です。
(もちろんこれからは暑くなりますので、たっぷりお水が必要ですね!)
お部屋にグリーンがあるとホッと気持ちが落ち着きますし、お部屋が明るくなります。
どうぞお好みやライフスタイルに合ったグリーンを見つけてみてくださいませ。

 

巨大木造建造物

大きな木造の建築と言うと皆様は何が思い浮かびますか?
きっと多くの方の頭に名前が挙がるのは奈良・東大寺の大仏殿ですよね。


Photo by Wiiii – todaiji kondo

正式には大仏殿ではなく金堂、と呼ぶそうです。
幅57.5m、奥行き50.5m、高さ49.1mで日本はもとより、世界最大の木造建築と子供の頃に習った覚えがあります。
修学旅行で伺った事がありますが、本当にお寺としては大きな建物だった事は覚えています。50mの高さというと15階建てくらいのビルと同じ程度の高さはありますので、創建当時は周囲を圧倒するようなサイズ感だったでしょうね。

木造建築のサイズの何をもって最大とするのかの基準はあいまいではありますが(日本国内でも東本願寺御影堂の方が大きいのではという説があるようです)、2017年の今ならばより大きな木造建築、構造物があるような気がします。
そこで、現在の世界で大きな木造建造物を探してみました。

まずは日本にありましたこちらの建築物。
大館樹海ドームです。

Photo by Ebiebi2 – 大館樹海ドーム

秋田県大館市にあります、かの伊東豊雄が設計した木造のドーム球場です。
外観を見る限りは木造建築?といった風体ですが、内側の構造を見ると・・・


Photo by kent404_japan

こちらの写真のように、アーチが木組みになっています。
幅178m×奥行き157mの卵型で高さは52mあります!

木をメインの構造として用いた建築としては、どうやらこちらが現在は日本最大のようです。
地元秋田の杉を約2万5000本も使用し、林業の活性化にも貢献している木造建築ですね。
伊東豊雄さん設計という事で、非常に美しいラインのドームとなっておりますので、ぜひ大館樹海ドームの名前で検索して他の写真も見て頂きたいです!

お次はこちら。
タイの巨大木造建築、サンクチュアリ オブ トゥルースです。

Photo by Marlinjuice – Santuaryoftruth2

1981年に建築を始めたものの、まだ完成していない事からアジアのサグラダファミリアと呼ばれてもいるそうです。
高さは105mもあり、日本で最も高い木造建築である東寺の五重塔の55mの2倍近い高さです。
幅・奥行き共に100mの十字形という事で、写真で感じる以上の大きさがありそうです。
この建物、タイにあってエスニックな形状である事から、仏教寺院なのかなと思ってしまいましたが、実は芸術作品だそうです!
確かに名前もタイ語ではなく、英語なので引っかかってはいたのですが、意外でしたね。
なお、この建築を進めている理由の一つに、タイで17世紀からある、高さ100mを超える木造建築の技術を継承するというものがあるそうなので、調べても見つかりませんでしが、タイにはまだまだ巨大木造建築があるのかもしれません。

ちなみにこの建築の主材はチーク材だとか!
あの高級材をこうも贅沢に使用できるとは、家具屋からすると羨ましいですね。
なお、釘も使用しないで製作されているそうなので、その触れ込みを信じれば、巨大木造建築の名に相応しい建造物です。

最後にご紹介するのは現在最大の木造建築と呼ばれている、エスパシオ・メトロポル・パラソルです。


Photo by Rubendene – Espacio Parasol Sevilla

スペインのセビリア中心部に位置し、地元の人々からは白いキノコと呼ばれているとか。
サイズは幅150m、奥行き70m、高さ26m。
おそらく、幅150mとうところが世界最大なのでしょうね。
実物を見ると相当な迫力なのかもしれません!
ドイツ人建築家ユルゲン・マイヤーによるデザインで、地下は古代の遺跡を間近で見る事が出来る美術館です。
そもそもはここに木造建築を建てるので無く、駐車場を作る予定だったそうなのですが、地下から遺跡が出てきた事で、メトロポル・パラソルを建設する事になったそうです。
木造建築の最新技術を分かりやすく使って建築されたと思われるこの建物。
一度見てみたいものですが、なかなかスペインは遠いです・・・。

上記建築はいかがでしたでしょうか。
これまで私は東大寺金堂が最大と思っていましたが、やはり現代の技術を持ってすれば、より大きな建築も可能でしたね。

家具についても、ヴィンテージとなっている物は当然良いものであり、昔の技法をそのまま使っている現代の家具もありますが、現代の技術で製作される家具はより良い造り、そして自由なデザインを可能としています。
最新の技術を駆使したチェアなどは高額になってしまうかもしれませんが、それだけで無く、どの家具も日々の研究のフィードバックを受け、洗練されていっています。
BRUNCHで家具をご注文される際には、ぜひその造りにはご安心頂ければと思います。

なお以前のこちらの投稿でも木の建築について触れられています。
興味をお持ちの方は、ぜひこちらもお目通しください。

木と建築の新しい関係
https://wood.brunchone.com/blog/20151223144416/

植物と暮らす-エアプランツ-

皆様こんにちは。
無垢材家具を扱うBRUNCHです。

立夏を過ぎ、暦の上では夏のはじまり。

気温も高くなり、植物たちにとっては成長期のようです。
店内にディスプレイしているグリーンも、
気が付くと新芽が出ていたり、少し大きくなっていたりして、
嬉しくなります。

BRUNCHでは、無垢材家具のディスプレイに合わせて、
インテリアグリーンも置いています。

お部屋の中に植物があると、それだけでほっと心が安らぐから不思議ですね。
本日は、お部屋で気軽に楽しむことができるインテリアグリーン「エアプランツ」をご紹介したいと思います。

【エアプランツ】
最近では、専門誌まで登場するほど話題のエアプランツ。
園芸店やホームセンターはもちろん、雑貨屋さんでも目にするようになりました。

■エアプランツは、土のない空中で育つ植物です。
そのことから「エアー」という呼び名が付けられました。

一般的な植物のように、土に根を張り成長するのではなく、
岩石や他の樹木などに養生して、葉や根から雨や空気のわずかな水分を効率よく吸収し、成長します。

■エアプランツはパイナップルの近縁種にあたる、ブロメリカ科のチランジア(ティランジア)属の植物で、一般的にチランジアとも呼ばれています。

原産地は、北アメリカ南部~南アメリカと幅広く生息し、
雨の少ない砂漠から、日差しが少なく絶えず雲や霧のかかる湿度の高い雲霧林で、岩石や樹木に張り付いて生活し、600以上もの種類が存在するようです。

■エアプランツの魅力は、手軽にインテリアに取り入れられるところ。
好きな器に入れて飾ったり、
天井から吊る・壁にかける等、様々な方法で自由に楽しむことができます。

好きな場所に、好きなように飾り、手軽に植物を楽しむことができるのが、
人気の秘密かもしれませんね。

最後に店内のディスプレイをご紹介いたします。
無垢材家具と「エアプランツ」の組み合わせ。
自然を感じるインテリアは、やっぱり心地良いものですね。

それでは、本日はこの辺で。
また次回をお楽しみに。

 

 

 

ソファの内部構造を知る

皆様こんにちは。
無垢材家具のBRUNCHでございます。

いよいよ今年も待ちに待ったGWがやってきました。
皆さんはもう予定が決まっていますか。
旅行などに疲れたら目黒通りへのんびり家具屋巡りにでもお越しくださいませ。

さて本日は「ソファの内部構造を知る」ということで、
ソファの製作工場を見学してまいりましたので、
簡単なレポートとしてお送りしたいと思います。

見学してきたのは広島県にありますソファ工場。

広島といえば「府中家具」といって婚礼家具の産地としてのイメージがありますが、現在では総合的なジャンルの家具を生産しています。

それでは本題に入っていきましょう!

こちらは木材をカットする機械です。
こちらの機械で部材ごとに必要な幅を切り揃えていきます。

木材は積層合板や無垢材をポイントによって使い分けているそうです。

 

カットを終えた材料はNCルーターという機械を使い、
ソファを組み上げていく為に必要な穴や溝を加工していきます。

 

こちらの材料に加工された溝の部分に、
ミッキーの耳のような円が彫られていますが、
この穴はボルトの逃げ道になります。

 

こちらの材料にもジグザグとした溝が彫られていますが、
この三角に彫られた部分は縫製をする際などに針の通り道となるそうです。

細かい部分まで計算された加工がされているんですね。

こちらは加工を終えた材料を組み上げたところです。
少しづつソファらしくなってきました。

こちらはソファの座面にSバネが張られたところです。

座り心地に大きく関わる重要な部分。
金属製のバネを手で目いっぱい引っ張りながら固定していくのでとても力がかかるそうです。

引っ張る加減も均等にしなければいけませんので、
熟練の職人さんの経験と技術が必要になります。

完成したフレームにクッション材となるウレタンを貼り付けます。
専用ののりを吹き付けたあと、少し乾かしてから張り付けるのがコツだそうです。

こちらも少しでもズレたり接着が不十分だと仕上がりに影響がでてしまうので、
職人さんの技術が問われる部分です。

この段階で既にソファの美しさが伝わってきますね!

こちらがソファの裏面です。
最初にご覧いただいたボルトの逃げ道がきいていますね。

ここから張地を張り込んで、完成となります。

工場を見学させて頂いて感じたのは、
最新の機械も素晴らしいですが、
そこに熟練の職人さんが培ってきた技術があわさって、
はじめて良い家具というのは生まれるんだと実感しました。

それでは今回はこのあたりで。
また次回をお楽しみに。

 

家具の歴史を少し覗いてみましょう

皆様こんにちは。無垢材家具のBRUNCHです。
桜の季節が終わりを迎え、少しずつ新緑が綺麗な季節になってきました。
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ゆったりとした時間の中で、何も考えずに過ごすひと時は何とも言えない贅沢ですね。
さて、今回の木と学ぶでは「時間」をテーマに木について学んでみたいと思います。
■家具のはじまりは?
現存する最古の家具は古代エジプトの椅子(玉座)やチェストで、なんと3300年前とされています。想像もつかないくらいの時間を経て、なお現存するとはただただ驚くばかりです。残念ながらその写真は掲載できませんが、現在はエジプト考古学博物館に収蔵されているそうで、一度は見てみたいですね。
ちなみに無垢材の家具について調べていると、木の膨張や収縮、それに伴う割れや反りといった木の性質にいきあたります。現代では科学的にいろいろと研究がされていますが、古代エジプトにおいてもそれらの木の性質を理解した上で、家具が製作されていたようです。
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木の家具を作るにあたり、もっとも注意する点は含水率ですが、現代ではこのように機械を使って含水率を測ります。古代エジプトではどういった方法を用いていたのかは不明ですが、含水率を測定する技能を有していたと言われています。すごい文明ですね。
ちなみに最古の家具が形を保ったまま出土された理由のひとつとして、エジプトという乾燥する場所にあったからということが非常に大きな要因と言われています。やはり木の家具は乾燥の状態がもっとも大切だと再認識させられます。
ところで形はというと、椅子にしてもテーブルにしても、実は最古の家具と現代の家具に大きな違いはありません。
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たとえばテーブルは板に四本の脚、そして貫きと呼ばれる補強材が入ったシンプルなデザインです。時代がどれだけ変わっても、基本的な構造が変わらないということは、使い方・使う対象(私たち人間)に変化がないからということでしょうか。それにしても古代エジプトの文明には驚かされることばかりですね。
■生まれ変わる家具
続いてはBRUNCHで取り扱っている家具についてです。
「長持(ながもち)」という家具をご存知でしょうか?
長持とは、昭和時代、特に初期に広く使用されていた和櫃(わびつ)の一種で、衣類や蒲団、調度品等を入れておく長方形をした蓋(ふた)付きの大きな箱を指します。明治末年までは花嫁が輿入れする際の必需品だったそうで、両端にある金具に棹(さお)を通して二人で担ぎ運搬もしていたそうです。
私も実際に長持そのままの状態を見たことはないのですが、実はBRUNCHにも姿を変えた長持があります。
それがこちら。
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長持を使った一人掛けのソファです。
長持だった頃の痕跡がいたるところに残っています。
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金具の少し上に横に入った線が見えると思います。
線より上が蓋です。
この両側に付いた金具を上に上げ、棹を通すことで二人で担いで運搬していました。
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こんな感じです。
移動することを考えているので、木材の中では軽量の桐材を使用しています。
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背面には蓋の持ち手と鍵の痕跡があります。
ちなみに長持は当初、底に車輪を付けた「車長持」が主流でした。
そのまま引っ張って持ち運べるため人気を博しましたが、江戸大火の際に皆が一斉に車長持を持って逃げたため路地がふさがれ大惨事となってしまったそうです。そこで幕府は江戸・大坂・京都の三都で車長持を禁止し、その後上記の棹を通して持ち運ぶ長持が普及したそうです。
昭和末期に普及した箪笥にも長持同様に棹を通して運べる構造が取り入れられていたため、箪笥を数える単位は、1棹、2棹・・・となっています。
長持以外にもこんなものもあります。
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刀箪笥にスチールの脚をつけたコンソールです。
長持も刀箪笥も今でこそ馴染みがありませんが、少し前の日本では日常的に使われていた家具です。
それが姿を変え、また新しい家具へと生まれ変わることを考えると、歴史の一部にふれているような感覚になります。
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こちらはチークの古材を使用したテーブルです。
耐水・防虫・防腐性に優れたチーク材は、古くから寺院や船などに使われてきました。
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時間が経つにつれ耐久性を増すチーク古材を利用したこれらの家具は、釘の跡や傷さえも表情の一部となる魅力があります。
主に海外で使用されてきたであろうチークが古材となり、今は日本でテーブルとなり私たちの日常を楽しく幸せな時間にしてくれています。
今私たちが使っている家具も、後々にはこのように姿を変えて、また次の時代で愛されているのかもと思うと、木の家具はまさに一生モノだと感じることができますね。
どうぞ家具選びの際は、デザインや機能性だけではなく、その木が過ごしてきた時間や背景を想像する楽しみも加えていただければと思います。
それではまた次回。