樹液の役割について

皆様こんにちは。
目黒、千葉船橋、横浜港北で無垢材家具を中心に取り扱っております、インテリアショップBRUNCHです。

つい先日、久々にたっぷりと雨が降り、いよいよ関東の空模様も梅雨本番となってきましたね。
今年は空梅雨か、なんて言われていましたが、お店の外に植えられた植物達もようやく梅雨の恩恵を受けられて何となく生き生きとしているように感じます。
雨空は少し憂鬱になりますが、外で生きる木々の健康には欠かせないものですね。

木々の健康を守っているものは多くありますが、その一つに樹液の存在があります。
樹液は樹木に含まれる液体成分です。植物の樹皮を傷つけたとき、そこからしみ出してくる液体のことを言います。
損傷を受けた部分の補修をする働きをもつ、人間で言うと血液のような存在ですね。

『樹液』と聞いて私がぱっと思いつくのは、まさにこれから迎える季節である夏に、木に集まるカブトムシやクワガタといった昆虫の姿です。
子供の頃、あれは「木から出る樹液を求めて集まっているんだよ」と教わった覚えがあります。

何故、昆虫たちは樹液に集まるのか……それは、樹液に含まれる糖分を好んでいるためです。
夏は葉がたっぷりと生い茂り、光合成が活発に行われます。
その結果葉で糖分が生成され、それが樹液によって木全体へ輸送されていく為、樹液は甘くなり、その豊富な糖分に引き寄せられて虫たちが木に寄ってくるというわけです。

ちなみに、すべての木の樹液が虫たちに好まれる甘い樹液を持っている、という訳ではありません。
樹液には木に付けられた傷を治す役割の他、害虫や病原菌などが入ってくる事を防ぐ役割があります。
つまり、「抗菌物質」も含んでいるのです。
この場合の「抗菌物質」とは、ポリフェノール。コーヒーやワインにも含まれている成分ですね。
そしてその主な成分は「タンニン」といわれる渋みの成分です。
つまり、この抗菌物質が多く含まれている樹液は渋みが強くなります。
渋みが強い樹液はあまり甘味が無いため、虫たちも好まず、集まりません。

抗菌物質が多く含まれる木の特徴の一つには、樹皮が薄い木であることが挙げられます。
樹皮が薄いと当然傷が付きやすく、病原菌も入り込みやすいため、より多くの抗菌物質を必要とします。
樹皮が薄い木としては、身近な樹木だと百日紅やヒメシャラなどが挙げられます。


[百日紅]


[ヒメシャラ]

対して、樹皮の厚い木は、それだけで傷や害虫から守りやすくなっている為、そこまで抗菌物質を含む必要が無いのです。
さらに昆虫がよく集まる事で知られるクヌギの木に関して言うと、樹皮がコルク層のように重なって出来ており、厚く頑強で害虫や病原菌に強いだけでなく、その樹皮そのものにタンニンが多く含まれているので樹液に抗菌物質を多く含む必要が無く、より甘い樹液となり、虫たちに好まれているそうです。


[クヌギ]

私達の生活に馴染みの深い樹液といえば、メープルシロップもその一つですね。
サトウカエデから採取した樹液を煮詰めて出来たものが、よく口にするメープルシロップになります。

あの優しい甘さも、木が自らを守るために生成したのものだと思うと、何だか背を正して頂きたくなりますね。

それでは今回はここまで。次回もお楽しみに!