家具職人になろう

昨今は、社会の風潮的にも自然なものへの関心が高まっているように感じられます。都内でもあちらこちらで陶芸教室や園芸教室が盛んに開催されています。

瓢箪には自然の造形美がありますね

他聞に漏れず木工教室も多く催されており、木工を主体とした職業も人気となってきました。その中でも家具職人は非常に人気のある職種のひとつといっても過言ではないかと思います。

しかし、その門は狭い、敷居が高い、いえ、それ以前に、どうやったらその職業に就けるのかわからない部分が多いかもしれません。

これといった決まりがあるわけではありませんが、家具製作をする人間になる為には、いくつかのパターンが思い浮かびます。

・家具メーカーに就職し、製作部門に属する

・中学や高校、大学を卒業し、工房に就職する(弟子入りする等も含む)

・自身でいきなり開業する(作家活動等も含む)

企業に就職し、製作部門に属するというのはイメージがしやすいですが、実際には新卒で求人を募っている件数は多いわけではなく、経験者の中途採用がメインの求人となります。

また、弟子入りするのも、年齢の問題もありますし、それこそいきなり開業するというのも中々度胸のいる選択です。

 

そこで、多くの人が通る道筋として、木工関係の学校に入学し、一年〜二年ほどの過程を修了し、就職する形が現実的な形のひとつとなります。

公的な機関として国の運営する、職業訓練校に入り、卒業後、求人のある会社に入っていくことは非常に多いのではないでしょうか。

城南職業能力開発センター

かく言う私も、城南職業能力開発センター木工技術科(旧品川訓練校)を卒業し、家具の業界に入った一人です。

手加工でこのような仕口加工を施し組み立てます

全国にある訓練校はその土地、その場所の特徴があり、機械作業を主体としたり、民芸家具をルーツとしたりと、地域によって少し内容が変わります。即戦力を育成する、より実践的な技術を学べる学校や、基礎からしくみなどを深く理解することをメインの講習とする学校など、主旨は様々です。

座り作業台を主とする手加工

品川校は、江戸指物を基礎にさまざまな技術が学べ、非常に濃い一年を過ごすことができました。

毎日のようにノミ、カンナを手で研ぎます

ノミとゲンノウで作業するということは、一部を除いて実際の工房では中々やることの無い作業ですが、手加工でのそのしくみを理解することで機械加工の際の効率や正確さなどが身にしみて感じられ、深く身体と心で習得することができます。

あくまで「機械」は「道具」として使います

 

現在は販売の現場にいますが、製造から、御接客し販売、ご配送と、どれが欠けても素晴らしい製品をお届けすることはできません。

この一通りを体験できていることは非常に貴重で楽しい経験であると思います。

今回は、すこし普段の「木と学ぶ」とは趣向が違いましたが、やはり木、木工というものは奥が深いです。

意外な木の使い道

皆様、こんにちは。
BRUNCHです。

今回の木と学ぶのテーマは「意外な木の使い道」。
木製家具の様な、あきらかに木材を使っているもの以外の場所でも、木材は活躍をしていることがあります。

まずは、BRUNCHスタッフの周知率はほぼ100%のはずのブラックウォールナット材の使い道。

ウォールナットの木材は、その性能の良さから様々な分野で使用されていますが、その性能を分かりやすく伝える使用方法が、銃のライフルなどの肩に当てる部分・銃床への利用です。


Photo by CrucifiedChrist – Garand

ウォールナットは非常に硬く、衝撃にも強く、木材の中では狂いも少ない種であるため、形状の安定性と耐久力が求められる銃床にはぴったりの素材だったのです。

同様にBRUNCHでよく取り扱っている家具の中でその硬さから重宝されているのがハードメープル材。

ボウリング場のレーンに使われている場合があります。
銃床同様、最近はプラスチック系の素材に置き換わっている事も多いようですが、伝統を大事にしているボウリング場では今でも使用されています。
必ずしもレーンの木材全てがメープルという訳でも無いようで、ボールが床に落ちる付近やピン付近などの強い衝撃を受ける箇所に重点的に用い、それ以外の箇所にはパインなどの柔らかい木も使用しているそうです。


Photo Bowlingbahn

しかし、ハードメープルほどの硬さを持った木材でも、激しくボウリングの玉を落とされるとさすがにへこんでしまいます。
そのため、年に数回レーンのメンテナンスを行い、へこみや傷などは削り取ってしまうそうです。その点は家具と同じ利用方法ですね。

BRUNCHではあまり取り扱っていない樹種ではヒノキが蓄電池のセパレーターとして工業製品にも利用されたことがありました
蓄電池のセパレーターについて詳しくお話をする知識は持ち合わせていないので、ごく簡単にご紹介すると、蓄電池の電気を貯めている板と板の間に噛ませる事で、電池がショートしてしまう事を防ぐものです。

他に、ひっそりと工業製品に使用されている木ではリグナムバイタという聞きなれない木材があります。
リグナムバイタは世界で最も重い木の一つで、緑がかった色味をしています。
取り扱う場合には金属用の切削器具を使うと言われるほどの硬さともう一つの特長により、船のスクリューのベアリングとして使われることがあります。
そのもう一つの特長とは100度以上の高温になると木から樹脂が染み出してくるというもの。
ベアリングが抵抗により発熱し、よりスムーズに回転する必要があるタイミングになると染み出る樹脂により、潤滑な動きをするようになるという事で、ベアリングにはぴったりな素材です。
ただ、リグナムバイタは成長が非常に遅い木で、供給量も少なくなってきているようなので、気軽に扱える素材という訳でもなさそうです。
一度リグナムバイタのダイニングテーブルなども作ってみたいですが、かなり難しそうですね。

今回はここまでとさせて頂きます。
また、何か面白い利用方法がされている木材を見つけましたら、ぜひお話させて頂きたいです。

木のおもちゃの効果

こんにちは。
無垢材家具のインテリアショップBRUNCHです。

「木とふれあい、木に学び、木と生きる」ことを学ぶ「木育」という活動が広がっています。
この活動で、子ども向けの遊び場にも大型の木製遊具の設置や、デザイン性に優れた木製のおもちゃが増えているそうです。

幼い頃から木のおもちゃに触れ合うというは、子どもの成長にとって
どんな効果があるのでしょうか。

①集中力が育まれる。
木は他の素材と比べて、極端に熱が伝わりにくい性質をもちます。
温度変化に敏感な乳幼児にとって、触れた時に人肌に近い温かみのあるおもちゃで遊ぶことは、感覚的に心地よく、好奇心や興味を妨げずに長く遊ぶことができるため、集中力を育むことができます。

②想像力・表現力が身に付く。
木のおもちゃは、積み木などシンプルな形状、抽象的なデザインのものが多く、
遊び方が限定的でない分、想像力を刺激し、遊び方を自ら考え出すため、
想像力・表現力を身に付けることにつながっています。

③自然と共存することの大切さが身に付く。
木は人間や身近な動物と同じ「生き物」です。
「生き物」と向き合い、大切に付き合う(使う)、上手に利用するという流れを
木のおもちゃで体感することにより、森や山、川などの自然と共に生きていくことを身に付けるきっかけになります。

木のおもちゃで遊ぶ。
子どもたちにとって、良い事が沢山ありそうですね。

それではまた次回もお楽しみに。

「木」が含まれる漢字の成り立ち

こんにちは、無垢材家具のBRUNCHです。
木そのものや家具の名称には
「木」が含まれる漢字を使用しているものがとても多くあります。
そこで今回は「木」が含まれる漢字の成り立ちについて学んでみたいと思います。

■ 机

これは比較的分かりやすいかもしれません。
「几」は脚付きの台を描いた象形文字で、訓読みで「つくえ」です。
木製の脚付きのつくえを表す形声文字として「机」となりました。

■椅子

元々は「倚子」と漢字表記していました。
倚には寄りかかるという意味があり、
物の名に添えられる接尾語の「子」が後ろにつきます。
その後「寄りかかる木」という意味で「椅子」に変わりました。

■棚

貝を紐で連ねて2列に並べた「朋」に、
大地を覆う「木」を組み合わせた形成文字です。
朋が持つ「広げる」という意味から、
木を組んで造った「たな」または「かけはし」という意味から
漢字が成り立ちました。

■板

「反」は元々かげをよじのぼる意味ですが、
板の場合は木を削る手斧の形を表し、
木と合わさり、手斧で薄く削り取った木片を指します。

■枚

枚は「木」と「攵(ぼく)」が合わさってできています。
手になんらかの器具を持って木を打ち付ける様子を表しています。
そのため「枚」は木を削ってできる板切れのことを指し、
その板切れを数える単位としても使います。

■杉

杉の「長く流れる豊かでつややかな髪」の象形である「彡」と
杉の葉の見た目から「木」と「彡」をあわせて「杉」となりました。

■桜

桜は古くは「櫻」と書き、貝がらをふたつならべて(女性の)首飾りを表しています。
これに「木」をあわせて、首飾りのような実のなる樹木として「櫻」となり、今では略字の「桜」が一般的となっています。

■楢

「神が宿る木」とも言われる楢は、
「酒が入った器からいい香りがしている」象形文字から派生し、
「酒の醸造を役目とする役人(長)」を意味し
「木の長(神)」を意味する「楢」という漢字になりました。

■栗

栗は見たままがそのまま漢字になっています。
「くりのいががついている木」の象形からこの漢字となりました。

■桐

「木」と「同」(上下2つの同じ直径の筒の象形)を組み合わせ、
花は筒状で、幹の中心が筒のように中空になりやすい桐を表しています。

いかがでしたか。
普段何気なく使う漢字や言葉の成り立ちを考えてみるのも
たまにはいいですね。

それではまた次回。