皆様、こんにちは。
今回は基本に立ち返り、「木製の家具」の成り立ちと付き合い方に焦点をあててみようと思います。
現代で使われているような木製家具が最初に生まれた場所といえば、やはりヨーロッパやエジプト等がある、いわゆる「大陸」です。
その大陸で生まれた洋家具の歴史というと、古くは古代エジプト時代にまでさかのぼり、その後ヨーロッパでのゴシック様式、ルネッサンス様式、バロック様式、ロココ様式、 シェーカー家具、アールヌーヴォー等に続きますが、そこまでいくともはや専門学校の歴史の授業みたいになってしまうので、今回は主により近、現代の木製家具に主眼を当てたいと思います。
BRUNCHでも馴染みのある、木製で、シンプルで素材感を前面に出すデザイン性の家具と言えば、「北欧家具」があげられると思います。
北欧で育まれた木製の家具は、近、現代における木製の家具の大きな礎となっています。
<デンマークのデザイナー、カイ・クリスチャンセンデザインのCH-0133ダイニングチェア>
<同じくカイ・クリスチャンセンデザインのCH-0151ダイニングチェア>
<同じくカイ・クリスチャンセンデザインのSO-0050ソファ>
上の画像の商品は、BRUNCHで取り扱う、いわゆる北欧デザインの家具たちです。
北欧の国々では、古くから非常に森林資源が豊富でした。また、日照時間が短く、気候が厳しい事から長い時間を室内で、より快適に過ごす必要性がありまし た。凄く簡単にまとめましたが、これらの事からより資源を有効活用でき、かつ暖かみがあって見た目にも優しい「木材」が家具に使われるようになっていったのです。
また、快適で長く使っていけることを求めた結果、シンプルで飽きのこないデザイン性と、機能的で長く愛用出来る様に高い使い心地の良さを求めて設計されました。
<世界でもっとも売れた椅子の1つ ハンス・J・ウェグナーのYチェア>
北欧では、気に入った物をリペアしながら長く大切に使うという精神が根付いています。そういう意味でも北欧家具は、シンプルであるが故の高い耐久性と、木材を使うが故の高いメンテナンス性を持ち合わせていると言えます。
シンプルだからこそ、構造的に無理が無く丈夫です。また、いざ修理する際も凝りに凝ったこてこての造形の物よりやりやすいのも言うまでもありません。
木であるからこそ、無垢材であれば多少の傷やシミは削って直せますし、多少の打痕は水を吸わせれば膨らんできます。また、年月を経る程に出てくるツヤや人 工的に出せない色あい等の味は、木材ならではですし、物を長く大切に使う精神と室内での生活を楽しむ北欧の文化ならではのものです。
そしてそれが日本にやって来た時、同じく豊富な森林資源をもち、古くから木工の工芸品が親しまれていた事等の共通点から自然と受け入れられ、日本のインテ リアや他の家具にも良く馴染みコーディネートしやすいシンプルなデザイン性や、家での生活をより快適により楽しもうとするスローライフブームなども相まっ て急速に広まっていきました。
その優れたデザインや高級感といった見た目の部分だけでなく、家具との付き合い方、使い方に関しても、北欧文化を見習っていくというのは、限られた資源や環境の面からみても、とても大切なことだと思います。
西洋家具文化自体、割と近年になってから日本に入ってきたものですし、多様化する価値観や、物が溢れ、仕事を中心にどんどんスピードが上がっていく生活の なかで、北欧の伝統的な木の家具の扱いを現代の日本人が完璧にこなすのは無理があるのかもしれません。
ですが、限られた資源である木で作られた家具がどの ようにして生まれ、育まれ、使われてきたのかということは、これから木の家具を使っていく上で覚えておくべき、とても大切なことだと再認識させられました。
私は、家にある木の家具のメンテナンスをサボらず、大切に使っていこうと改めて思いました。
そして数十年後、いい味わいの出たこの家具を自分の孫がまだ使っている姿など考えると、なんだか凄くわくわくした気持ちになります。
木製の家具の良さはこういうところにもあるんです。
「痛んだら直す。痛まないよう手入れする。」
それでは、今回はこの辺りで。