桜と言えばソメイヨシノ?

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コロナウィルスの影響で、せっかくの桜も心から楽しめない今春ですが、やはり柔らかくなった空気と共に咲き始めるピンク色の桜は可愛らしく、嬉しいものです。“桜”と言って、真っ先に思い浮かべるのはソメイヨシノだと思いますが、ソメイヨシノはあまり家具には使われておらず、ブログでも何度か取り上げている通り、家具に使われる”桜”は、山桜やブラックチェリーがほとんどです。

では、なぜソメイヨシノは家具の材料として使われないのでしょうか?

お花見に行くと、その可愛らしい花はもちろんですが、味わい深い幹や枝ぶりにも目を奪われます。ソメイヨシノの木、ウネウネ、ゴツゴツ、個性的な木が多いと思いませんか?

私たちの目を楽しませてくれる、その個性こそが家具に使われない理由なのです。ソメイヨシノは、ねじれ上がりながら成長するため、真っすぐな木材か切り出しにくいのです。また、幹の中に空洞ができやすいことも、木材にしにくい理由の一つです。伐採後は、茶筒などの小物に利用されたり、スモークチップにされることがほとんどで、ソメイヨシノの家具はなかなかありません。

ソメイヨシノは、江戸時代後期に、観賞用にオオシマザクラとエドヒガンを交配した雑種で、「桜と言えばソメイヨシノ」と言うイメージになったのは、明治時代に入ってから。それ以前は、家具にも使われている山桜でお花見を楽しんでいました。

現在私たちを楽しませてくれているソメイヨシノの多くが寿命を迎えることから、より病気に強く、寿命の長い“桜”への植え替えを進めているところもあり、その品種は様々。“桜”には、600品種程が存在すると言われています。時代と共に、山桜からソメイヨシノへと“桜”の代表的なイメージが移り変わったように、また一つ、私たちの“桜”のイメージも変化していくのでしょうか。

Brunch+Chibaでもオオシマザクラが春を告げています。大きくなり過ぎない桜の品種もあるので、ご自宅で時代に左右されない、ご自身の“桜”を毎年楽しむのも良いのではないでしょうか。