真竹と和傘

6月に入り、急に蒸し暑くなり梅雨入りも間近となりました。傘の出番が増えるこの季節、和傘について少し調べてみました。

傘は古く中国から伝わりましたが、当時は主に日よけ用で、開閉ができないものでした。今の和傘のような防水効果がある、開閉式になったのは室町時代と言われています。和傘は唐傘(から傘)と言われることもありますが、これは、中国を意味する「唐」からきているのではなく、開閉できるようになった傘に、からくりがあるように見えて呼ばれた名前とも言われています。

さて、この和傘に使われている材料は、主に竹と和紙と油。柄の部分には木材が使われることも多いのですが、骨組みに主に使われるのは、細くてもしなやかで強い真竹です。これには傘を畳んだ時にスッキリとスリムに見えるようにという、粋な計らいもあります。古くから和傘の生産地として知られる岐阜県では、骨組みになる真竹や木材、防水用のエゴマ油、そして美濃和紙が手にはいやすいことから、和傘づくりが盛んになりました。和傘づくりに欠かせない真竹は、私たちが良く目にする孟宗竹よりも薄く弾力性があり、籠などの竹細工にも使用されます。また、真竹の筍は5月下旬から6月の初旬にかけてが旬で、まさに今が食べ頃。えぐみが少なく、美味しいんだそうです。そこからぐんぐん成長し、5年程を経て10月、11月に伐採される真竹は、時期竹と呼ばれ、丈夫で害虫にも強く、和傘の材料となります。アジアにしか生息しない竹を、日本人は昔から上手に生活の中に取り入れていたんですね。

和傘の種類についても少し触れたいと思います。和傘には、持ち主の屋号や番号などを表記したことから名前がついたと言われる「番傘」、白い輪の模様がヘビの目のように見えることから名前がついた「蛇の目傘」、そして日よけや、踊りに使われる小ぶりな「日傘」「舞傘」などがあります。

 

幼稚園の頃でしょうか、雨の日には楽しく歌った歌があります。「♪雨雨ふれふれ母さんが 蛇の目でお迎え嬉しいな ピチピチ チャプチャプ ランランラン♪」蛇の目って、傘の事だったんですね。じとじとうっとおしい季節でもありますが、雨音を楽しみつつ過ごしたいと思います。