春の木といえば皆さん何を思い浮かべますか?
きっと多くの人が『さくら』だと思われるのではないでしょうか。
しかし木辺に春という字を見ると、ツバキと読みます。
朝夕はまだ冷えますが、春らしくなってきた本日はこの椿について調べてみました。
椿はツバキ科ツバキ属の常緑種。照葉樹林の代表的な樹木であります。
寿命の長い高木で、普通は高さ5–6mですが樹高18m・胸高直径50cmにも達する例もあるそうです。
同じツバキ属の山茶花(サザンカ)と間違われることも多い。
春の字がつくツバキですが、実は開花の時期は12~4月頃で、種類によってばらつきがあるようです。
日本や中国を原産とする冬を代表する花の一つであり、18世紀頃ヨーロッパに渡ると品種改良が盛んに行われ、現在では2500とも3000ともいわれる品種が流通しています。
私が小さいときは通学路にもけっこう咲いており、帰り道ツバキの蜜を吸ったりしていました。
<字の由来>
開花時期は冬~春にかけてですが、冬の花のイメージもあるツバキ。
ではなぜ『椿』という字になったのでしょうか。
中国では「チン」と読み、初夏に白く小さな花を咲かせる落葉樹のことを表しています。
一方、日本のツバキは一年中緑の葉をつけ、赤や白、薄くれないの花を咲かせる常緑樹。
つまり「椿」という字は、中国と日本ではまったく異なる植物のことを示しているのです。
一説によると、当時の人々が季節感を表現するため、春を代表する植物・ツバキを意味するのにふさわしい漢字を探し、木へんに「春」と書くこの「椿」という字を見つけます。
そこで、すでに中国で使われていたこの字を借りたのではと言われているようです。
椿はまるごとその花を落とすため、首を落とすように見えて不吉だと忌み嫌われたこともありましたが、一転、江戸の世では椿の観賞が大流行しました。
品種改良も進み、爽やかな香りで江戸の町に春の訪れを告げていたようです。
非常に身近な椿の樹ですが、大昔から世界中でその美しさを認められていたようです。
まだまだ冷えるこのぐらいの季節がとてもよく似合う椿を、見かけた際は愛でてみてください。