お碗?お椀。

「お茶碗(おちゃわん)」と書く時に

「碗(わん)」の文字を使います。

 

しかし、お米のご飯を食べる「わん」は、

木へんで、「お椀」と書くのが正しいそうです。
私自身恥ずかしながらあまり意識したことがありませんでした。

 

お茶を飲む際にはお茶碗を使います。

お茶碗は熱すぎない適温のお茶が楽しめるということで陶器や磁器などが適しているそうです。

一方、木製のお椀は、汁物などや、ごはんの最期の一粒までその温度を下げないという保温性に優れた特長もあり、日本の食卓で重宝されてきました。

 

ちなみに、我が家ではお茶碗でご飯を食べます。

お茶碗でご飯を食べる、や、ご飯茶碗、などと言いがちではありますが、それだと少しおかしなニュアンスになりそうです。

 

このお椀ですが、
日本古来からの伝統的なお椀と言えば、漆塗りのお椀です。

かつて海外では「ジャパン」と呼ばれ日本文化の象徴であった漆ですが、現在国内で消費される漆の98%が中国などの外国産なのだそうです。

伝統的な技法や民芸が消費量や後継者不足などで失われていくという話は枚挙にいとまが無いですが、やはり日本人としては寂しく感じますね。

 

漆は、ウルシ科ウルシノキから採れる樹液を加工した、ウルシオールという成分を主成分とする天然の樹脂塗料です。他方、接着剤としても使われています。木の器と木の塗料、ここにも豊かな木の恵みがあります。

 

さて、このわずか2%の純国産の漆、その7割を、岩手県二戸市の浄法寺一帯で生産されています。

漆の生産から漆器等の製作までを一貫して行うこの地域で生まれるものたちは、とてもなめらかで、くちあたりがよく、丈夫で長持ちするそうです。

少し値が張るのも事実ですが、ひとつくらい持っていたいものです。

 

同じものを長く使うより、新しいモノを安く買っては使い捨てる消費社会において、そういった想いが込められているものを使うことで、私達が忘れていた「日本文化のこころ」を想い起こさせてくれそうです。