こんにちは。BRUNCHでは無垢の木の家具を中心に取り扱っておりますが、さて、ここでいう「無垢の木の家具」とはどんなものでしょう。
辞書で無垢を調べてみると、
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【無垢】
1.けがれのないこと
2.潔白で純真なこと
3.まじりけの無いこと
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とあります。
この中で家具の材料に該当しそうな内容としては3.の「混じり気のない」木の家具、という言い方が近そうです。
まじりけのない、木の代表としては「一枚板テーブル」があります。
一本の大木から切り出した一枚の板を天板として作り上げる一枚板のテーブルはまじりけのない無垢の家具です。
一枚の板ですので、つなぎ目もありません。
カウンターなどに使われる天板は、接ぎ合わせ(はぎあわせ)の天板も多く使われます。
つなぎ目がみえますね。これも無垢の板です。
では、「無垢の木の家具」以外にどんな家具の素材があるのでしょう。
木製家具、木の家具という言葉には、無垢の木の家具以外のものも含まれています。その材料になるのが、家具材としてよく使われる用語で以下のものが見受けられます。
集成材、積層材、合板、突板、LVLなどがよくみられるでしょうか。それぞれを調べていくと膨大な量となってしまうので、今回は家具のカタログなどでよく見る、積層合板を調べてみます。
ホームセンターなどで一般的にべニア板(正確には違うものですが)と呼ばれたりするこの積層合板ですが、通常薄い木を奇数枚、木目を縦、横と交互に貼り合わせて材料にします。奇数枚合わせるというのは、表も裏も同じ木目になるようにするためですね。
端を割ってみた合板ですが、木目が交互になっているのが分かるかと思います。こうすることによって反りやねじれが出にくく、強度的なムラを最小限にすることができます。
広義では、構造材やコンクリートの型枠に使われる「コンパネ」や、心材にランバー材という木をもつ「ランバーコア材」なども積層合板の一種と言えます。
廃材や端材などを粉々に砕き固めたパーティクルボード(カラーボックスなどの材料)を心材に使ったりすることもあり、加工性の良さやコストの面で有利な様々な合板が開発されています。
例えば、この可動棚板、見た目には無垢の板のように見えますが、外してみると、
無垢板ではないことが分かります。
合板を使うメリットとしては、コストも面ももちろんですが、反りにくく、強く軽く製作できるという点があげられます。
棚板などの場合、取り外して位置を変える必要性があるパーツとして、重さ、反りや捻じれが機能性に不都合を生じる可能性があることから、合板を使うことが多いパーツでもあります。
引き出しや扉を備える機能性を持つ家具、チェストやテレビ台なども無垢のものより合板やフラッシュ構造(中空構造。合板をさらに貼り合わせたパネル)でできているものが多くなります。
積層の合板は個人差はあるものの、その断面を美しく作るとデザインになることもあります。
こちらの棚は積層合板に化粧面(綺麗な木目の板やプリントした素材、もしくは塗装)を施した家具です。
少し寄ってみましょう。
このように断面を見せてしまうという方法もあります。
構造的な部分を綺麗にデザインに取り込んでしまう家具は海外のものに多い印象をうけます。
日本では職人の慣習から、構造を見えないように隠したり、意識をさせないという文化が根強かったため、このような発想は難しかったようです。近年では合板をあえて内装に取り入れたりすることも増えてきました。
ちなみにこの黒い色の面は、断面で見るとこのくらい薄いものとなります。一番上の層の黒い線が化粧面と呼ばれる加工を施した面です。0.0数ミリという厚さになります。
これを無垢の板で作った場合、日本の古い家具ですが、こんな形になります。
杉材の棚板ですが、これはこれで味があります。
端の部分をみてみると、
無垢の棚板であることがわかります。
文字通り適材適所で使われている素材を変えていくのは強度や耐久性、生産性などのコストの面でも大きくかかわる部分となります。
そんなことを頭の片隅にちょっとだけ置いておきながら家具屋巡りをしてみるのも別の視点と合わせて面白いかもしれません。