カビとの闘い

ついに梅雨が明けました!
今年は平年よりも遅い梅雨明けだったせいか、ずっと雨が降り続けていた印象です。
湿度もぐんぐんと上がり、気温はそうでもなくても暑苦しい日が続いていましたね。

そんな環境は人間には辛いですが、やっかいなあれにとっては最適なものとなってしまいます。
そう、この時期はカビの季節でもあります。

お客様からも家具の一部にカビが生えてしまったと、ご相談頂く事があります。
オイルないしウレタン仕上げが施された家具ならば、よっぽど放っておかなければ、カビは表面に止まり深く根を張る事態にはなりづらいのですが、例えば引き出しの内側に使用している桐材は無塗装で仕上げているため、多少カビが生えやすくなっています。

もちろん引き出しの中に桐が使われていて、それが無塗装である事には意味がありまして、桐は調湿作用を強く持つ木材であり、引き出しの中の湿度を一定に保つ働きをしています。
そのため、収納物にカビが生えないようにしてくれる機能を持つ訳で、収納物に生えてしまうかもしれなかったカビを引き受けてくれたとも言えますね。

という事で、無塗装の引き出しにカビが生えてしまった場合、どうするれば良いかという問題ですが、一番は表面を削りカビの層を無くしてしまう事です。
しかし桐の合板で作られている底板などを削ってしまうと、桐ではない材料が表面に出てしまう危険性もあるため、それ以外の方法を行う必要がある場合も。

その方法は、それこそベーシックなものですが、カビ取り剤を使用するというもの。
しかし、もちろん浴室などに使うような強力なものでは、木にダメージが入ってしまうため、木に使うことが可能と謳っているもの、もしくは非常に優しい成分で構成されているものである必要があります。

そしてそんな、木にも使えるというカビ取り剤のサンプルを頂いたので、試しに使ってみました。

まずは余っている引き出しに上手くカビを生えさせます。

中央付近の黒いシミのような箇所がカビです。

まずは表面の胞子が飛び散らないようにしつつ、ふき取ります。
濡らしたキッチンペーパーなどが良いですが、カビを退治する事を考えますとアルコール除菌ティッシュでも良いです。
ただ本来は、特にオイルないしウレタン塗装されている面については、アルコールを付着させない方が良いのでお気をつけください。

この画質ではそれだけでもそこそこ綺麗になっているように見えますが、中央には少し黒く残ってしまっています。

今回はこの優しい成分で出来たカビ取り剤を使用します。
塩素系漂白剤のような嫌な臭いがしないどころか、手についても大丈夫らしいです。
ただ、もちろんカビを漂白するなどの性能は、そういったものと比べると格段に落ちるようではあります。

念の為、底面全体に吹き付け、

まんべんなく延ばしました。

この状態で1時間ほどおき、

表面に浮き上がったカビをふき取り、または溝に入り込んだカビを優しく掻き出したりし、

最後に雑巾できれいにふき取ります。

これでカビは除去できたはず。

カビ取り剤を使用した木部も変質しておらず、これまでと同じ質感です。

なお、もしカビが取り切れていない場合は、繰り返し使用するとより効果を発揮するというレビューがありました。

そして、今回は木部に変化はありませんでしたが、同じ桐材でも木部の状態によっては変質してしまう事もあり得ると思いますので、目立つ箇所のカビを取ろうという場合は、まず目立たない箇所で試して頂けたらと思います。

木部に使えるカビ取り剤については、メーカーさんに確認を取って頂くのが安心かと思います。大事な家具に使用する場合は、ぜひご慎重に!