間伐材のゆくえ

『間伐材』という言葉を聞いたことはありますか?
間伐とは、人工林や里山などの人の手が入った天然林の生長に伴い、混み合ってしまった立木の一部を伐採することです。
これを行うことで日当たりが改善し、樹木そのものだけでなく下草が生育しやすい環境ができ、土壌の流出防止にも繋がることから、土砂災害防止の為にも重要視されている、とても重要な保育作業です。

この作業で伐採された木材のことを『間伐材』と呼びます。
曲がって生長してしまった木や入皮が生じた木などを中心に伐採されますが、それら間伐材も、大切な資源として多くの場面で利用されています。

1970年代までは、主に建築現場などの足場材として多く用いられましたが、アルミニウム製の足場が登場してからはそちらが主流となり、需要が低下していきました。
その後、間伐材の利用方法について見直しが行われ、現在では、木の形のまま利用されたもの、別の形に加工したものなど、様々な間伐材を利用した商品が生み出されています。

 

【再生紙】

間伐材を紙パルプの原料の一部に使用して作られた再生紙は、既に私達の生活に根付いた存在となっています。
それを更に封筒、はがき、名刺、ファイルなどに加工し、取り入れている企業も多くあります。
特定調達品目の基準をクリアしている商品なら「グリーン購入法」で購入ができ、企業的にエコに協力することにもなるので、企業側が導入しやすい仕組みとなっています。

 

【割りばし】

割りばしが間伐材を利用していることはご存知の方も多いかもしれません。
輸入品の割りばしについては必ずしも間伐材で作られたもののみではありませんが、国内産の割りばしは、割り箸製造のために伐採されたものではなく、建築用材の端材や残材、間伐材から製造されたものです。
コンビニエンスストアやファミリーレストランでは、この間伐材を利用した割りばしを導入している企業が増えてきています。

 

【集成材】

小さな木材を接着剤で組み合わせて作る集成材も、間伐材から作られます。
フローリングなどに利用されるので、馴染みのある方も多いかもしれません。
建材以外にも、テーブルの天板など、家具や内装にも利用されることがあります。

 

【バイオマス燃料】

間伐材は、木を利用した燃料『木質バイオマス燃料』(木質ペレット)として、ボイラーの燃料となったり、発電燃料のとしての利用も進められています。

 


その他、紙コップや紙袋、木製のお皿など、幅広く利用され、私達の生活にも密接に関係している間伐材。
さらにその利用・用途開発を促進するために間伐材利用コンクールが開催されるなど、様々な取り組みが進められています。
間伐材利用の可能性は、これからもまだまだ広がっていきそうですね。
木を無駄にしない取り組み。
私も消費者の立場から、積極的に協力していきたいと思います。

それでは今週はこの辺で。
来週の『木と学ぶ』もお楽しみに!